ポップ・リデンプション
怪物の花嫁
夢をみるから人間という生き物は映画を撮るようになってしまったのではなかろうか。とつくづく思った久々にエド・ウッド作品を見て。寝ているときまでも生きていることの因果から離れさせてもらえぬ生理が人間を縛っている。縛られていることに無自覚だろうと自覚していようと縛られ上手と下手がいる。エド・ウッドは夢から逃れようとして寝てしまいまた別の夢を見てしまうことの円環に居続けたか。何度も寝て夢見て逃れて寝て夢見て逃れてを繰り返すうちに結局起きているのが現実だからといってそれがいったいなんだってんだ、えらそうにするんじゃねえよ現実、と思い至り、夢と現実の両方に逆襲するために映画を作ってしまったのであった。\ツジツマもまた人を縛るいまいましいものである、話には筋があるものだと思い込むのは勝手だが、筋にもいろいろある。起承転結が整っていないのは不備だというのは図々しいじゃないか。とエド・ウッド作品を見ているとよく思うものだ。『プラン9』を見ていると無性にめしが食いたくなるのはそのためである。かといっていわゆる前衛のための前衛は単なる逃げでしかないとエドさんは思っていたのだろう。物語にはスリルがあるものだし、夢の中では思考があやふやなのか単純なのかはたいして問題にはならない。だから夢の中の物語は強い。俺も負けちゃいられねえ、夢ごときに。というわけでエド・ウッドは正直に心情をぶちまけ『グレンとグレンダ』を撮った。グレンの苦悩には悲しくもないのに涙が流れた。それに『怪物の花嫁』と、『マーズ・アタック』の大先輩=宇宙は因果だ、の『プラン9』の3作をセットにした生きる勇気が湧く、人の世の超常識の詰まった箱。エドさんはニヒルじゃない。マヌケで真正面でズルいけどブキッチョなことに嘘がつけなかっただけ。
謎の連続殺人事件を追う女性新聞記者ジャネットは、森の中の沼地近くで取材中に襲われ、気が付くとそこは巨大な屋敷の地下実験室だった。そこでは東欧某国出身の科学者ヴォーノフ博士が助手のロボと二人で、放射能を使い人類を超人化して世界を征服する計画を企んでいた。屋敷のそばの沼地には巨大タコと巨大ワニを飼い、もはや計画は進められようとしていた…。
エド・ウッド
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