人狼 JIN-ROH
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「あの決定的な敗戦から十数年」--第二次世界大戦の戦敗国・日本。戦勝国ドイツによる占領統治下の混迷からようやく抜け出し、国際社会への復帰のために強行された経済政策は、失業者と凶悪犯罪の増加、またセクトと呼ばれる過激派集団の形成を促していた。そして本来それらに対応するはずの自治体警察の能力を超えた武装闘争が、深刻な社会問題と化していた。政府は、国家警察への昇格を目論む自治警を牽制し、同時に自衛隊の治安出動を回避するため、高い戦闘力を持つ警察機関として「首都圏治安警察機構」通称「首都警」を組織した。
そんな情勢下での東京。街頭では学生らのデモが行われており、警視庁の機動隊がこれと対峙している。その後方には共同警備の首都警部隊が待機していたが、特機隊副長の半田はデモ隊にセクトの人間が紛れ込んでいることを察していながら、「この場の指揮権は自治警にある」と傍観を続けていた。一方セクトの面々はこのデモに乗じて機動隊を攻撃しようと、地下水路を活用して仲間に火炎瓶などを供給していた。セクトのメンバーが「赤ずきん」と呼ぶ物資輸送係を務める阿川七生は、セクトの仲間から鞄に偽装した投擲爆弾を受け取り、人で溢れかえる街路でこれを他のメンバーに渡した。野次馬とデモ隊に紛れたメンバーは走って正面にでると、信管を作動させる紐を引き、鞄を機動隊に向けて投げつけた。投擲爆弾が作動すると、街路は大きな炎と爆音に包まれる。機動隊員は吹き飛ばされ、盾は木の葉のように宙を舞う。出動服に火がつく者、目を負傷し視力が奪われるものなど、負傷者が続出。ついに機動隊の指揮官は全員検挙の号令を出し、両者が本格的に衝突する。
伏一貴:藤木義勝
首都圏治安警察機構警備部特殊機甲大隊第2中隊第3突入小隊の前衛隊員、巡査。セクトの運び屋の少女「赤ずきん」の制圧に失敗し自爆を許し、その結果部隊を危険にさらしたことから、査問委員会で責を問われた。以後、特機隊員養成学校で再訓練を命じられる。首都警の人事評価によると「情緒面に難有り。但し、射撃、格闘技、ストーキングなど、あらゆる戦闘技術に抜群の技量を有する」。
雨宮圭:武藤寿美
かつて「赤ずきん」だった少女で、組織名はラングハール(長毛のジャーマン・ポインター)。逮捕歴数回の筋金入りのテロリストで、首都警公安部にその身柄を押さえられて以後は、公安部の意向に沿って動く。辺見の意を受け、阿川七生の姉を騙り伏に近づく。
阿川七生:仙台エリ
「赤ずきん」で、組織名はクルツハール(短毛のジャーマン・ポインター)。地下水路を移動中に特機隊の包囲を受け、伏の目前で自爆し死亡した。余談だが、クルツハールは特機第一中隊、ラングハールは特機第二中隊の通称名でもある。(ちなみに第三中隊はドラートハールである)
辺見敦:木下浩之
室戸公安部長の部下で、首都警公安部の捜査員。伏とは特機隊員養成学校で同期だった。しかし特機隊には入らず、公安部に配属された。室戸が描く新しい警備体制確立の為に、雨宮を使って特機隊に罠を仕掛ける。
室戸文明:廣田行生
首都警公安部の部長。特機隊の戦闘的な姿勢が世論の指弾を浴び、一方で情勢が変化していることから、自治警との組織統合によって新たな警備体制を確立しようとする。その為の必要欠くべからざる手段として、特機隊の粛清を目論む。
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