新書・忍びの者
太陽とバラ
【送料無料】 新編天才監督木下惠介 / 長部日出雄 【単行本】 |
八月も終りの湘南海岸。秋山清は与太者仲間山中次郎や辻長七と、連日、盗み、タカリ、喧嘩とスサンだ青春の日を送る。清の父親が戦後間もなく、買出しで事故死した後、母親は不良の清に手をやきながら内職で細々と生計を立て、夜間高校に通う清純な妹薫や、幼ない篝共々、厳しい現実と闘っていた。だが清は、遂には警察にアゲられる始末。母親の強い意見から、清はやがて母が家政婦を勤める別荘の長谷夫妻の尽力で、その工場に働くことになる。長谷の長男正比呂は、ふとした折薫の美しさに惹かれ彼女を追い廻す一方、清を自分らの太陽グループに引入れる。清は母の心配もよそに、工場を休み給料前借で遊び暮す有様。総てに理性を失ってきた清は、太陽娘の洋子と過して戻った時、母から亡父の仏前で反省をうながされても捨ゼリフを残して飛び出す。偶々、正比呂の指図で喧嘩した清は彼の家に伴われ、家庭に戻ると豹変する彼に呆れるが自分と違い、何不自由ない生活ぶりに、次第に反発を感じ出す。翌朝正比呂の両親が清に会いたいと言って来る。清の母の手紙を前に優しく話す夫妻。正比呂のため身を誤った姉敬子も清には親切であった。清が去った後、敬子は今迄の事を総て母親に語り、二人で正比呂の後を追う。一方、別荘へ向う清は、途中会った母の言葉に耳も貸さず、ために「死んでしまえ」と迄いわれるが、そのままダイスに耽る正比呂らの許へ。あてつけな妹薫誘惑の話、そして実姉への暴言。怒りに燃えた清は遂に正比呂を殴殺し、手を血に染めたまま家へ戻る。「あんな奴、死んだ方がいいんだ」と言うや走り去った清は、半狂乱の母親や警官を後にそのまま驀進する列車に飛び込んで行った。
長谷正比呂:石浜朗
秋山清:中村嘉津雄
清の母:沢村貞子
長谷敬子:久我美子
秋山薫:有田紀子
洋子:杉田弘子
辻長七:田中晋二
正比呂の母:三宅邦子
正比呂の父:北竜二
桜井:竜岡晋
すし屋の親父:須賀不二男
すし屋のおかみさん:桜むつ子
左隣のおかみさん:吉川満子
左隣の親父:磯野秋雄
山中次郎:田村保
次郎の母:野辺かほる
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歌え若人達
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日本の男子大学生は五十四万四千五百五十人。その中の四人、森康彦、宮本伸一、岡田一之助、平尾弘は、東京で寮生活をしている大学仲間。一文なしで大学に入った森、勉強第一主義の岡田、成績にも女にも自信のある宮本、母親思いの平尾、この四人が同室だ。が、アルバイトに学業という生活を送っている森は、将来に希望を持てないでいた。ある日、バイト中の森の姿が週刊誌の表紙を飾り、テレビの連ドラの主人公に抜擢された。そんな彼の幸運を宮本は人生はまぐれ当りと懐疑的に反発する。彼の空虚な心はやがて恋人の裕子やガール・フレンドの淑子からも離れさせてしまった。岡田は森の活躍が刺激になり勉学に励むが、そんな彼にいつしか裕子は心惹かれるようになった。一介のサラリーマンを目指す平尾は天下泰平、お袋からのお菓子があればご機嫌だ。がテレビ俳優になった森は、金が入り名前が知れてくるにつけ、仲間から離れて行くようで不安でしょうがない。が、そんな彼を引き止めたのはテレビ女優の厚木紀子だ。そして数日、四人にとって最後の大学祭が近づいてきた。その準備中、自動車部の学生と口論して平尾が気絶した。てんやわんやの中に平尾の母親、森のお袋さん、岡田のお婆さん達が大学祭にやって来て相変らずの騒々しさだ。大学祭もたけなわになり、岡田と裕子、平尾と果物屋の娘、森と紀子らのカップルは楽しそうだ。だが、宮本は一向に興味がない。年も改まり、新人タレント、森の盛大なデビュー発表会の日。会場には岡田、平尾、淑子達のカップルが集まった。が、宮本はひとりぼっち。こうして、ばらばらな四つの青春がそれぞれ未来に向って元気に出発して行った。彼等の未来は明るかった。
森康彦:松川勉
宮本伸一:川津祐介
岡田一之助:三上真一郎
平尾弘:山本圭
中島裕子:倍賞千恵子
本庄淑子:冨士眞奈美
厚木紀子:岩下志麻
岡田の祖母:東山千栄子
森の母:川上夏代
平尾の母:京塚昌子
平井:永井智雄
ダーリン:中田浩二
お恵ちゃん:八木千枝
編集長:大森義夫
浜田:椎名勝己
香山:山口崇
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