ワイルドライフ
作品を発表するごとに、その引出しの多さに驚かされる青山真治監督の3作目である。
本作は、全体像の見えない事件にまき込まれた元ボクサーの主人公が、事態の真相に迫っていくなかで、自身の内面的な変化にも気づき始める物語だ。過去と現在を自在に交錯させての綿密な構成力といい、遠巻きに謎を解きあかしていく語り口のウマさといい、これぞ「スタイリッシュ」といえる作風に、観ていて感嘆するほかない。クールなハードボイルドタッチながらも同時に不思議なユーモアが漂って、邦画にはめずらしい乾いた後味も残す。さらに、章立て風に引用される有名曲のタイトルなど、随所に見られるさまざまな「遊び」や音楽の使い方も、ツボを得ていて絶妙だ。映画を楽しもうとする心をくすぐってやまない快作である。
豊原功補
夏生ゆうな
國村隼
ミッキー・カーチス
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