映画女優
吉永小百合/映画女優 |
大正14年。鯛の塩焼きが食卓に並ぶ。田中絹代が蒲田撮影所の大部屋女優として採用されたからだ。「先生」と家族が呼ぶ新人監督清光宏の強い推薦があった。長兄が徴兵拒否をして不明になってから極貧となっていた。上京には母のヤエ、姉の玉代、兄の晴次と洋三、伯父の源次郎までが関西の生活を捨てて同行することになった。芸名は長兄が妹と分かるように本名のままでいてくれという母の願いを聞いたものだった。家も先生が見つけてくれたものだった。大部屋の給料が10円~15円だった当時、破格の50円をもらい、清光作品ではいつも良い役がつく絹代に、同僚の嫉妬が集まる。絹代の素質を見抜いた五生平之助監督は蒲田の撮影所長の城都を説得し、『恥しい夢』の主役に抜擢した。自分が発見した新人をライバルにとられた清光は『恥しい夢』が完成した後、強引に絹代を奪った。清光との愛にも激しく燃えたが、女優を失うことはできないと考えた城都の提案で2年間の試験結婚という形で同棲生活を始めたものの、清光は女癖が悪かった。ついに、清光が暴力を振るい、怒った絹代が座敷で放尿するという抵抗でこの未熟な同棲はあっけなく終わる。野球選手とのロマンスもあったが、いつも真剣に付き合っていると母親にいう。小津安二郎監督の『大学は出たけれど』、第一回トーキー作品『マダムと女房』、『伊豆の踊子』、そして『愛染かつら』の大成功となる。御殿の建築まで決まるが、家庭的には恵まれず、姉の駆け落ち、撮影所を辞めた兄たちの自堕落な生活、母の死が絹代を打ちのめす。付人兼用心棒として雇った仲摩仙吉に励まされ、何とか切り抜けた。昭和15年、絹代は溝内健二監督の『浪花女』に主演するため京都に向かった。参考文献を読むように指示され、依戸義賢を呼びつけては脚本を何度も訂正し、「女優はあなたなんだから」とリテイクを繰り返す溝内に対して、激しい開志が燃え上がった。「女に斬りつけられるようでなければ女は描けない」という監督だった。
昭和26年秋、再び溝内から出演交渉を受けた絹代はタイトルも知らずに、京都を訪れる。新しい時代に即応できず低迷していた溝内は『西鶴一代女』に起死回生を賭け、そのパートナーに絹代を選んだのだ。お互いに好意を持ちながら、仕事となると仇敵のように激しく火花を散らす二人。「古いやり方はお止めになって新しいやり方で」と説得する絹代に反発する溝内。訪ねてきた溝内に「好きなように撮ってください」と懇願し、二人は……。「心中をするつもりの先生と心中しよう」とメイクで老醜をさらけ出す絹代…。
田中絹代:吉永小百合
母・ヤエ:森光子
姉・玉代:横山道代
伯父・源太郎:常田富士男
城都四郎:石坂浩二(城戸四郎がモデル)
清光宏:渡辺徹(清水宏がモデル)
五生平之肋:中井貴一(五所平之助がモデル)
溝内健二:菅原文太(溝口健二がモデル)
依戸義賢:佐古雅誉 (依田義賢がモデル)
仲摩仙青:平田満
釘貫屋の女将:岸田今日子
五十屋時雄:井川比佐志
べんがら格子の中年女:三條美紀
守衛:浜村純
川島聖子:沢口靖子
上原謙:上原謙(特別出演)
高田浩吉:高田浩吉(特別出演)
小津安二郎:小木茂光
ナレーター:三國一朗
【映画】 【動画】 【洋画】 【邦画】 【ドラマ】
映画→ 動画→ 洋画→ 邦画