新・刑事コロンボ 完全犯罪の誤算
DVDコレクションデアゴスティー二 新刑事コロンボ 第7号 完全犯罪の誤算 |
テレビミステリーには珍しく最初に完全犯罪を企む犯人の周到な犯行を視聴者に見せた後、一見して隙のない犯人が見落としたほんの僅かな手がかりを元にコロンボが犯行を突き止める構成となっている(「さらば提督」等一部例外作品もある)。ミステリー小説では倒叙物と呼ばれる形式である。
視聴者はあらかじめ犯人とその犯行を知っているので、視聴者の興味は「犯人と視聴者は一体何を見落としていたのか?」、「コロンボがどうやって尻尾をつかんで犯人を追い詰めるか?」、「犯人側の心境に重ねる緊張や焦り」などの心理的駆引きに向けられる。
テレビで犯人に際だって著名な俳優(いわゆる大物俳優)や個性的な俳優を配した場合、視聴者には彼らの登場時点で真犯人がわかってしまい、「最後まで犯人が誰だかわからない」というストーリーを成り立たせることは難しい。単発のドラマであれば大物俳優を複数配役すれば可能ではあるが、シリーズものでは予算的にも困難である。しかし、倒叙物の手法を取り入れることにより、毎回犯人役に大物俳優を起用することができることとなった。
テレビドラマでは、ともすると視聴率重視のために短い時間で様々な要素が盛り込まれがちだが、本シリーズでは暴力や性的描写が(旧作では)一切無く、ドラマは犯人とコロンボの心理戦を中心に進められる。
犯人は医者や弁護士、会社重役など地位や名声のある知識人であることが多く、犯行動機も権力欲や遺産目的によるものが多い。知能犯である彼らの犯行はいずれも緻密かつ周到で、コロンボから追及されても鮮やかにかわしていく。 これら特権階級(エスタブリッシュメント)の世界をうかがわせること、そしてそれらの人々が作り上げた完全犯罪を覆していくことにこの作品の魅力があるといえよう。原案者のリンクとレビンソンは、コロンボとの庶民的で凡庸なキャラクターの対比を鮮明にするため犯人を特権階級に設定したと語っている。
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