フルメタル・ジャケット
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明確に二部に分かれた構成。前半では海兵隊訓練所で新兵が受ける過酷な訓練、後半では彼らのベトナムでの行動が描かれる。
ベトナム戦争時、アメリカ海兵隊に志願した青年たちは、サウスカロライナ州のパリス・アイランド海兵隊訓練キャンプで厳しい教練を受ける。キャンプの鬼教官・ハートマン軍曹の指導のもとで行われる訓練は、徹底的な叱責と罵倒、殴る蹴るの体罰が加えられ続けるという、心身ともに過酷を極めるものだった。さらに連帯責任による懲罰、訓練生の間で行われるいじめなど閉鎖的な空間で受ける社会的ストレスが次々と描かれていく。落ちこぼれだった訓練生レナード(微笑みデブ)はこれにより精神に変調をきたし、卒業前夜にハートマンを射殺し自害する。
厳しい訓練を耐え抜き一人前の海兵隊員となった彼らは、ベトナムへ送られる。テト攻勢の後、前線での取材を命じられた報道部員のジョーカーは、訓練所での同期であったカウボーイと再会し、彼の部隊に同行することとなる。ある日カウボーイたちは、情報部から敵の後退を知らされ、その確認のためにフエ市街に先遣される。しかし行軍中に指揮官をブービートラップで失った上に敵の狙撃を受け、部隊は混乱する。
ジェイムズ・T・デイヴィス(ジョーカー):マシュー・モディーン
本作の主人公で、海兵隊員。皮肉屋で、その言動から「ジョーカー(おふざけ野郎)」と命名された。ハートマンにも皮肉を言える度胸を買われ、訓練途中から班長に抜擢、ローレンスの補助を命じられる。高校時代広報部だったため、歩兵訓練後は星条旗新聞(米軍の準機関紙)の報道員となる(その際に軍曹に昇進)。原作ではハイスクールで演劇部の経験も積んでいて、声帯模写が特技。いつも胸にはピースマークのバッジを付け、ヘルメットカバーには「Born To Kill」と書いている。
レナード・ローレンス(微笑みデブ。英語では「ゴーマー・パイル」):ヴィンセント・ドノフリオ
渾名の由来は軍隊ドラマ『マイペース二等兵』の間抜けな主人公より。海兵隊に志願したはいいが、靴紐を結べないなど基本的な生活能力に欠ける面があり、訓練所では当初は失敗を繰り返して、その度にハートマンから厳しい指導を受ける。これを繰り返すうちに、連帯責任として本人を除く全員が罰を受けるようになり、それを恨んだ隊員たちからリンチを受ける。その後射撃の才能を開花させ入隊時とは別人のように成長していくが、精神に変調をきたし、M14自動小銃に話しかけるなどの奇行が目立ち隊員達から気味悪がられる。原作では最優秀訓練生として、卒業パレードで礼装「ブルードレス」を着る栄誉を得た。訓練所卒業前夜、営舎トイレにて、武器庫より持ち出したM14自動小銃でハートマンを射殺、自身も銃口を口にくわえて引き金を引き自殺する。
ハートマン:R・リー・アーメイ
海兵隊の訓練教官で階級は一等軍曹。厳しい教練で知られ、訓練生たちを容赦なく汚い言葉で罵る。原作小説ではガーハイム砲兵軍曹という名で(日本の「一等軍曹」に相当する語は「Gunnery Sergeant」で、直訳すると砲兵軍曹となる)、硫黄島での戦歴があるなど、映画とは設定が若干違う。訓練所卒業前夜、M14を持ち出したレナードを諭すが腹部を撃たれて死亡する。
エヴァンズ(カウボーイ):アーリス・ハワード
海兵隊員。訓練所ではジョーカーと同じ班。テキサス出身で、ヘルメットには南部旗のステッカーを貼っている。H中隊第1小隊所属の下士官で、先遣隊隊長のクレイジー・アールがトラップによって戦死したとき、臨時に指揮を執る。戦車を呼ぶ際に、建物に開いていた穴から狙撃され、止血の甲斐なく死亡する。原作では、第3部のジャングル戦で非業の死を遂げる。
アニマルマザー:アダム・ボールドウィン
カウボーイの分隊に所属するM60機関銃手。カウボーイの後退命令を拒否して、撃たれた仲間の救出を試みる。本名は不明。原作では民間人や、気に入らない上官を殺すことすらいとわない凶暴な面が強調されている。
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