エル・シド
物語は1080年から始まる。史実ではその時点でフェルナンド王は既に死んでいる(1065年没)が存命中として描かれている。
カスティーリャ王国の若き武将ロドリゴは、イベリア半島に攻め込んで来たムーア人との戦の末に捕らえた敵軍の首長ムータミンとカディアを、捕虜として王に引き渡すことなく、生かして逃がす。これに恩を感じたムータミンはロドリゴに「エル・シド」の尊称を贈るとともに友情を誓う。しかし、捕虜を逃がしたためにロドリゴは反逆者と見なされ、彼と深く愛し合う婚約者シメンの父で最高戦士であるゴルマス伯爵は、ロドリゴの父ドン・ディエゴを公の場で激しく侮辱する。これに怒ったロドリゴはゴルマス伯爵に謝罪を求めるが、頑なに拒否される。その結果、2人は決闘することになり、激しい闘いの末にゴルマス伯爵が死ぬと、息を引き取る父に復讐を頼まれた娘シメンはロドリゴを激しく憎むようになる。反逆者の汚名が消えないままのロドリゴは、アラゴン王国からカスティーリャ王国に挑まれたカラオラの地を賭けた最高戦士同士の一騎討ちに志願する。苦戦の末、アラゴンの最高戦士ドン・マルティンを辛くも倒したロドリゴは汚名を返上し、名実ともにカスティーリャ王国の最高戦士となる。その後も王国の英雄として戦功をあげ、その褒美としてシメンとの結婚を認められるが、シメンのロドリゴへの憎しみは消えず、シメンを愛するオルドニェス伯爵を使ってロドリゴを殺そうとまでする。ロドリゴはそれらの全てを知りつつもシメンを愛する気持ちが変わることはなく、全てを受け入れてシメンと結婚する。
しばらくしてフェルナンド王が死ぬと、第2王子アルフォンソが姉ウラカ王女と結託し、兄であるサンチョ王を暗殺して即位すると、暗殺の事情に気付いているロドリゴを追放する。これをきっかけにシメンはロドリゴを愛している自分の気持ちに気付き、全てを捨ててロドリゴに付いて行く。ようやく真の夫婦となり、穏やかに過ごしていた2人の前に、ロドリゴを敬愛する忠実な部下ファニェスらが現れ、ロドリゴに「エル・シド」としてスペインのために戦うよう強く請い願う。シメンはロドリゴを引き止めるが、ロドリゴは自らの意思で戦うことを決めると、シメンを僧院に預けて旅立つ。ここで前編が終了する。
後編は、数年後にロドリゴが勇将として復活し、アルフォンソ王に呼び出されるところから始まる。ここではアルフォンソ王と和解せぬまま決別し、ロドリゴは王の方針に反して独自にムーア人の首長であるムータミンらと手を組み、バレンシアを攻略する。周囲がバレンシア王となることを勧める中、ロドリゴはバレンシアの王冠をアルフォンソ王に送り届け、王への変わらぬ忠誠を誓う。ところが、攻め込んで来たムーア人の王ベン・ユサフとの戦のさなかにロドリゴは無念の死を遂げてしまう。それでも、ロドリゴの遺言に従い、彼の遺体を馬上に据えて味方の先頭に立たせることで、敵を威嚇すると同時に味方の士気を高めることに成功、ロドリゴらの軍は敵を一掃し、これによりロドリゴの存在は「エル・シド」として伝説となる。
ロドリゴ(エル・シド) - チャールトン・ヘストン(日本語吹替:納谷悟朗/納谷悟朗): カスティーリャ王国の貴族で武将。
シメン(英語版) - ソフィア・ローレン(日本語吹替:今井和子/此島愛子): ロドリゴの許嫁。
ベン・ユサフ(英語版) - ハーバート・ロム(日本語吹替:不明/今西正男): ムーア人の王。スペインに攻め込む。
オルドニェス伯爵(英語版) - ラフ・ヴァローネ(日本語吹替:小林清志/渡部猛): ロドリゴのライバル。シメンを愛する。
ウラカ王女(英語版) - ジュヌヴィエーヴ・パージェ(日本語吹替:武藤礼子/谷育子): ロドリゴに想いを寄せる。弟アルフォンソを溺愛。
アルフォンソ王子 - ジョン・フレイザー(日本語吹替:内海賢二/津嘉山正種): カスティーリャ王国の第2王子。
サンチョ王子 - ゲイリー・レイモンド(日本語吹替:仲村秀生/仲村秀生): カスティーリャ王国の第1王子。
アリアス - ハード・ハットフィールド: カラオラの地を賭けた一騎討ちの審判。
ファニェス - マッシモ・セラート(日本語吹替:島宇志夫/不明): ロドリゴの忠実な部下。
アル・カディア - フランク・スリング: バレンシア王(首長)。ロドリゴに命を救われるがユサフに従う。
ドン・ディエゴ - マイケル・ホーダーン(日本語吹替:不明/清川元夢): ロドリゴの父。元最高戦士。
ゴルマス伯爵(スペイン語版) - アンドリュー・クルークシャンク(日本語吹替:不明/穂積隆信): シメンの父。最高戦士。
アル・ムータミン(英語版) - ダグラス・ウィルマー(日本語吹替:宮田光/家弓家正): サラゴサ王(首長)。ロドリゴに命を救われた恩から味方に。
神父 - トゥリオ・カルミナティ: 王国に帰還する途中のロドリゴと出会う。
フェルナンド王 - ラルフ・トルーマン(日本語吹替:不明/大久保正信): カスティーリャ王およびレオン王。
ドン・マルティン - クリストファー・ローデス: アラゴン王国の最高戦士。
ベルムデス - カルロ・ジュスティーニ: ロドリゴの部下。
ラミロ王 - ジェラール・ティシー: アラゴン王。
ドルフォス - ファウスト・トッツィ: サンチョ暗殺の実行犯。事情を察したロドリゴに殺される。
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