映画 聲の形
将也のクラスに転校してきた硝子は聴覚障害者であり、自己紹介でノートの筆談を通じてみんなと仲良くなることを希望する。しかし、硝子の障害が原因で授業が止まることが多く、同級生たちはストレスを感じる一方になっていた。そして合唱コンクールで入賞を逃したことをきっかけに将也を初めとするクラスメイトたちは硝子をいじめの標的とするようになり、補聴器を取り上げて紛失させたり、筆談ノートを池に捨てるなどエスカレートしていった。
度重なる硝子の補聴器紛失事件を機に、彼女の母親の通報によって校長同伴による学級会が行われるが、担任の竹内はいじめの中心人物であった将也のせいだと、威圧的に追及。それに賛同する形でクラスメイトたちも次々と将也のせいだと主張し始め、自分たちも硝子に散々な仕打ちを行っていたにもかかわらず、彼らは皆自己保身のためだけに暗黙の団結を結んで、全ての罪を将也一人になすり付けようとしたのだ。これが、あまりにも信じられない光景に愕然とする将也が、硝子に代わる新たないじめの標的となる日々の始まりだった。
孤立した将也は、硝子よりも苛烈ないじめを受け続けることになり、上履きを隠す犯人を突きとめようと早朝に下駄箱で待ち伏せしていると、花を持った硝子が現れ、以前いじめを受けていたときと同様に、落書きされた机を拭いているのを目撃する。その後、新たないじめグループのリーダーとなった島田によって池に突き落とされ、それを目撃した竹内に事実を説明しても「嘘をつくな」と、我関せずな始末だった。島田たちの冷酷な嘲笑を受け、ボロボロになりながら一人歩く将也の前に硝子が現れ、傷ついた将也の顔を拭きながら彼女は優しく笑みを浮かべる。しかし、自分が散々いじめたにもかかわらず優しくしてくれる彼女にやるせなさや惨めさを感じた将也は反発してしまい、暴言を浴びせたことで取っ組み合いの喧嘩となり、それを遠因に硝子は転校した。
結局、硝子の転校後から卒業に至るまで、将也へのいじめはひたすら続いた。卒業式の日、落書きされた自分の机を一人拭いていた将也は、喧嘩別れしてしまった硝子がいつも拭いていた落書きだらけの机は、他ならぬ自分自身の机であったことに気付く。島田たちは、硝子をいじめていたときから、将也に対してもずっと机に嫌がらせを行っており、それに気付いた硝子は、将也が気付かないよう、いち早く学校に来て、彼の机の落書きを拭いていたのだ。自分を本当に想ってくれたのが、自分がいじめていた硝子ただ一人だけで、密かに守ろうとしてくれた彼女と分かり合えず失ってしまったことに、将也は自己嫌悪と後悔の涙を流し、自分なりの贖罪を行うことを決意する。
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