昆虫大戦争
松竹大船撮影所作品。『吸血鬼ゴケミドロ』に続く、終末テーマのSFパニック映画シリーズ。当時泥沼化していたベトナム戦争と東西陣営による核戦争の脅威をテーマに、孤島を舞台に愛憎、スパイ戦、大国のエゴなど、濃厚な人間ドラマが描かれた。「水爆搭載機の墜落と捜索」がストーリーの骨子となっているが、本作公開の二年前の1966年に、パロマレス米軍機墜落事故が起こっており、これは当時かなり現実味の強いテーマだった。
スタッフ陣は前年の『宇宙大怪獣ギララ』の二本松嘉瑞、平瀬静雄、川上景司。音楽面及びシナリオ面は『吸血鬼ゴケミドロ』の菊池俊輔、高久進が担当した。
川津祐介は以前から二本松嘉瑞監督を慕っており、出演依頼が来た時には一も二もなく引き受けたという。撮影ロケは八丈島で行われた。川津祐介が蜂に全身を噛まれるシーンがあるが、これは本物のミツバチに噛ませて撮影した。チャーリー役のチコ・ローランドはブラジル出身で、現地にこの蜂にそっくりな猛毒の蜂がおり、この撮影を異常に怖がったという。毒虫の撮影では人間大の着ぐるみも用意されたが、製作に1ヶ月ほどかかるため数体作るためのスケジュールが合わず、本編での使用は見送られた。この着ぐるみは予告編にのみ登場する[1]。
当時の劇場用予告編は、冒頭で宇宙円盤が大挙して地球に接近する『吸血鬼ゴケミドロ』の映像が流用されている。本編にこのような描写はない。本作は、「社団法人・映画輸出振興協会」による輸出映画産業振興金融措置の融資を受けて、製作された映画である。
南雲:園井啓介
秋山譲治:川津祐介
秋山ゆかり:新藤恵美
アナベル:キャシー・ホーラン(声:北浜晴子)
チャーリー:チコ・ローランド(声:たてかべ和也)
小室:瞳麗子
ゴードン中佐:ロルフ・ジェッサー(声:納谷悟朗)
軍医:フランツ・グルーベル
水爆機機長:マイク・ダニーン
米軍司令官:ハロルド・コンウェイ
松永:上田忠好
刑事:青沼三郎
藤井:青山宏
工藤:市村俊幸
南雲の助手:園江梨子
副官:ウォルフラム・ベギシャス
副操縦士:ゲルマン・ライナー
通信兵:ウィリアム・ドュウク
搭乗員:ハッピー・バーマン
声の出演:テアトルエコー
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