妖星ゴラス
1979年[注 1]9月29日午後8時、土星探査の任務を負った日本の宇宙船 JX-1 隼号が、富士山麓宇宙港から打ち上げられた。しばらくして、パロマー天文台が質量が地球の6,000倍あるという黒色矮星「ゴラス」を発見したと発表する。隼号の園田艇長はゴラスの探査に急行するが、質量こそ膨大だが大きさは地球の4分の3というゴラスの引力圏内に捉えられ、観測データの送信後にゴラスへ飲み込まれる。そのデータから導き出された結論は、「ゴラスが今の進路を保つと地球に衝突する」という恐るべきものだった。
日本宇宙物理学会の田沢博士と河野博士は事態を危惧するが、政府も対策に本腰を入れようとせず、またこれを自分の問題として捉える人々も少なかった。ゴラスの再観測も思うに任せぬ中、田沢と河野は園田博士の孫・速男の「ゴラスを爆破するか地球が逃げるか、その2つしかない」という言葉に活路を見出す。
田沢と河野は国連科学会議で、「南極に建設した巨大ロケット推進装置によって、100日間で地球を40万キロメートル移動させ、その軌道を変える」という「地球移動計画」を提案する。当初はその実現性を疑問視されるが、アメリカやソ連も似たような研究を行っていたことから計画は一気に進み、各国一丸となって建設に取り掛かることが決定する。かくして世界中の技術が南極に結集し、巨大ジェットパイプが次々と建造されていく。しかし、工事現場で落盤が発生するなどの事故で、タイムロスも生じ始める。
その頃、国連の要請を受けて日本が打ち上げた JX-2 鳳号がゴラスに接近する。カプセル1号でゴラスに肉薄した金井の観測の結果、ゴラスの質量は地球の6,200倍へ増加しており、もはや爆破は不可能という結論が出される。地球を救う術は「南極計画」のみとなる一方、金井は接近時のショックで記憶喪失となってしまう。
完成したジェットパイプ基地のジェット噴射は、地球を計算通りの速度で動かし始める。世界が歓喜する中、田沢は「ゴラスの質量増加が続けば現在の施設だけでは追いつかなくなる」との不安を抱え、国連への追加投資を巡って河野と対立する。その間も、ゴラスは彗星や土星の輪を飲み込みながら地球に接近していく。さらに、南極に眠っていた巨大生物・マグマが突如目覚め、施設の一部に損傷を与える。田沢らによってマグマは葬り去られるが、復旧作業も含めて72時間というタイムロスが生じる。
そしてゴラスと地球が最接近する1982年2月を迎え、人々の尽力によってタイムロスは減るが、それでも36時間分の移動距離が足りない。地球上ではゴラスの引力により、各地で天変地異が発生し、富士山麓宇宙港の宇宙船も次々と地中に飲み込まれていく。ジェットパイプも水没する中、運命の時が刻々と迫る。
田沢博士:池部良
園田智子(隼号艇長の娘):白川由美
金井達麿(鳳号乗員):久保明
野村滝子:水野久美
若林:太刀川寛
遠藤(鳳号艇長):平田昭彦
斎木(鳳号副長):佐原健二
園田雷蔵(隼号艇長):田崎潤
河野博士:上原謙
園田謙介(隼号艇長の父):志村喬
多田(大蔵大臣):河津清三郎
真田技師:三島耕
医師:堺左千夫
関(内閣総理大臣):佐々木孝丸
村田(宇宙省長官):西村晃
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