ミスター・ベースボール
メジャーリーグベースボール (MLB) 、ニューヨーク・ヤンキースの強打者だったジャック・エリオットは、かつてワールドシリーズでMVPを獲得した経験も持つ大物選手だが、ここ最近は目立った成績を残せず、スピード違反と試合後に複数の娼婦を同伴したことが明るみに出てCMの降板が決まるなど、選手としてのイメージも低下する一方。そんな中でルーキーのリッキー・デイビスとのポジション争いに敗れ、チーム側からトレードの通告を出されてしまう。この時唯一オファーを出したのはMLBの球団ではなく、日本プロ野球の球団・中日ドラゴンズであった。
MLBへの未練を抱えたまま来日したジャックは日本文化・日本の野球にしばらく馴染めず、プライドが高く気の荒い性格も影響し、チームメイトや通訳の西村洋次、監督の内山らと衝突を繰り返す[2]。一方、西村がジャックの発言を故意に紳士的な解釈で訳したこともあり、マスコミはジャックを「ミスター・ベースボール」と称える[3]ものの、成績が振るわずに鬱憤の溜まったジャックはチームメイトのマックス・デュボアの忠告も聞かず、乱闘を起こして出場停止処分を受けてしまう。
それを見た内山監督の娘・内山ヒロ子は、ジャックを自身の実家に連れて行く行動を取る。ここで素麺をすする音に抵抗したり、箸をご飯に立てて叱られるが、ジャックの獲得を指示したのは球団幹部ではなく、「粗雑ではあるが最盛期は終わっていない」という判断をした自身であることを明かした内山のほか、ヒロ子や西村やチームメイトなど周りの人物達によって少しずつチームに馴染んでゆき、お互いを理解するようになる。
改心後は3割を超える打率を残す活躍を見せていたが、ジャックの移籍要因となったデイビスの骨折に伴い、ヤンキースのオーナーからアメリカへ戻って欲しいとオファーを受ける。しかし、恋人関係となったヒロ子からの懇願を受け、中日に留まってプレーを続けることを決心。そして、内山が現役時代に残した7試合連続本塁打[4]の記録更新が掛かった最終戦では敬遠の連続。9回裏2死満塁の場面で内山は「打て」のサインを出すが、個人記録よりもチームの勝利を優先したサヨナラ2ランスクイズプレイを決め、リーグ優勝の立役者となる。
その後、現役を引退したジャックはヒロ子と共にアメリカへ戻り、デトロイト・タイガースの打撃コーチに就任。そこには日本で学んだ経験を生かして後進の指導に励む姿があった。
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