病院へ行こう
病院へ行こう [ 真田広之 ] |
広告代理店のコピーライター・新谷公平は、妻の春子が夜中に見知らぬ男性を自宅に連れ込んでいる現場に鉢合わせし、男性と揉み合いの末、マンションの階段から転落する。そんな新谷が搬送された大学病院の新人研修医・吉川みどりは、救急患者が苦手で点滴の針すらもさせない有り様。結果、新谷は大腿骨骨折・全治1ヶ月間と診断され、同病院の大部屋で入院生活を送ることになる。だが、新谷の隣のベッドの患者は一緒に転落した男性・如月十津夫だった。新谷と如月の担当医になったみどりに対し、新谷は不安を如月は恋心を抱く。入れ替わるように面会に来た春子は新谷に離婚届を渡すと弁解もせず実家に戻ってしまう。
新谷は間男、妻の不倫・離婚、自分が抜けた仕事のことなどから胃潰瘍になってしまう。さらに、医師が胃癌であることを隠すために胃潰瘍と偽っているのではと思い悩む。一方、新谷よりも軽傷だった如月の肺に影があり、肺癌なのか結核なのか判明せず、みどりも悩んでいた。如月には内緒で様々な検査をするが、結局、どちらなのか判明しない。外科医は手術して直接患部を見れば良いと言うが、不要な手術を嫌うみどりは納得しない。日数は掛かるが、如月の痰を培養検査へ提出する。みどりから胃潰瘍であると断言され新谷の悩みは軽減される。しかし、如月への怒りは治まらない。復讐のためだけに如月が憧れるみどりを口説き落とし、新谷の意趣返しは成功する。
検査の前日、如月は新谷を誘い病院を抜け出し、2人は車椅子で夜の街へと繰り出す。そこで、新谷が仕事で多忙のために寂しい春子が、自身の誕生日に街で偶然出会った如月を家に入れただけで、不倫など何もなかったという真実を知る。酩酊した如月は解雇された花火工場に乗り込むが、怪我で利き手の右手が不自由になった職人まで雇う余裕がないと親方夫婦は弁解する。朝帰りした二人が病院に戻ると、如月の帰りをいら立って待つみどり。如月の飲食していないとの自己申告を信じ検査を始めるが、検査途中で昨夜暴飲暴食したものを吐いてしまい検査は中止。検査した医師はみどりを叱責し、みどりは嘘をついた如月に怒りをぶつける。
新谷は如月の検査内容から肺癌だと気付き、みどりを問い詰めるが不自然に否定される。ある夜、 医局に忍び込んだ新谷と如月は、みどりの引き出しに如月のラブレターを入れるが、如月が目を離した隙に新谷は引き出しからラブレターを取り戻す。新谷はみどりが書いた風を装って返信を作成し、それを寝ている如月の枕元に置く。如月は返信の内容が好意的なものだったので、みどりが態度に出さないのは彼女の奥床しさだと誤解する。
ある日、みどりに呼び出された如月が意気揚々と診察室に向かうと、みどりから外科医を紹介される。その医師から開胸術による検査を勧められたことで、自分は肺癌で死が近いと思い込む。如月は死ぬ前に自作の打ち上げ花火を夢の島で試すため、新谷と実力行使で病院を抜けだそうと試みる。しかし、病院を抜け出すのが困難と判断した新谷は、行き先を屋上に変更し、屋上から火の付いた花火の玉を放り投げる。花火は夜空に大輪の花を咲かせ、如月の花火は大成功。丁度、その頃、みどりの元に如月の検査結果が届き、癌ではなく服薬で完治する結核と判明する。みどりは如月には吉報を知らせ、新谷には喜びのあまり抱きつきキスをする。2人の関係を知らなかった如月は呆然と見守るだけだった。如月が内科病棟に移った数日後、新谷は如月がみどり先生に告白したが振られたことを噂で知る。
新谷の退院の日、新谷と偶然ロビーで再会した如月は不自由だった右手だけで折鶴を作ってみせる。新谷が病院の出口を抜けると、そこには新谷を待つ春子の姿があった。
新谷 公平(しんたに こうへい) - 真田広之
広告代理店勤務。仕事人間で家庭を顧みない日々を送っていた。妻の浮気相手の如月と揉め合いの末にマンションの階段から転落し大怪我を負い入院するハメに。
吉川 みどり(よしかわ みどり) - 薬師丸ひろ子
整形外科の研修医。医大の入試成績は芳しくなく大学への寄付金の贈与額トップで合格した。患者に注射や点滴の針を刺すのが苦手。
如月 十津夫(きさらぎ とつお) - 大地康雄
春子の浮気相手。職業は花火師。新谷と共に大怪我を負い、彼と同じ病院に搬送されて隣のベッドに入院。怪我をした経緯から、病院職員らの間で「間男」とあだ名をつけられる。みどり先生に恋心を抱いている。
新谷 春子(しんたに はるこ) - 斉藤慶子
公平の妻。妻の誕生日にも関わらず仕事にかまける夫に嫌気が差し、行きずりの如月を自宅に誘う。
笹蔵 - 尾美としのり
みどりの交際相手。医大の研究室勤務。寄生虫の研究をしている。
定 - 螢雪次朗
新谷・如月と同室の入院患者。おかまバーに勤務。如月のみどり先生への恋を後推しする。
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