タッチ3 君が通り過ぎたあとに
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明青高校三年生の達也は最後のチャンスを悔いないものにするため日々、猛練習に励んでいた。南も新体操部を退部し、野球部のマネージャー活動を再開、充日した毎日を送っていた。そんな時、西尾監督が入院することになり、急きょ代理監督として柏葉英二郎がやってきた。10数年前、明青野球部を除名された柏葉は、狂ったように部員たちをしごき始め、南が戻ってきてせっかく明るくなった野球部は地獄と化した。南はある日、西尾監督が兄の柏葉英一郎に頼もうと思っていた監督の座を弟の英二郎に頼んでしまったこと、そして英二郎ががつて自分を追放した明青野球部を怨んでいて復讐しようとしていることを知る。英一郎は渡米していて代理監督の話は通じていなかったのだ。その英一郎夫妻が帰国し、妻の令子は、かつて英一郎と英二郎が自分を甲子園へ連れていくと約束したが英二郎が暴力事件を起こしその夢は果たされなかった、と南に語った。南は、達也と和也と自分の関係をダブらせて、若き日の英二郎のことを考えた。やがて予選が始まった。第1回戦、英二郎の指示によって達也はセンターを守り、エースが登板しない明青は大量得点を許した。辛じて勝ったものの、明青の選手は英二郎の采配に疑問を感じた。2回戦からは達也が登板、明青は順調に勝ち進み、ついに決勝戦の日がやって来た。柏葉英二郎はその日、誰にも知らされずに病院にやって来た。眼科の医師から今日中にでも手術しないと失明するといわれたが、この一日だけ待ってくれと断わった。いよいよ運命を決する試合が始まった。対戦相手は、去年敗戦した新田率いる須見工だ。達也の失投につけ入って、顔見工は3点を先取、しかし明青の必死の反撃によって同点になった。その後、いつしか英二郎の態度が変わり、必勝のための指示がベンチから飛びはじめ明青は2点を入れ、須見工の9回裏の攻撃が始まった。2アウト、ランナーは1塁、バッターは新田だ。新田は、入魂の達也の球をことごとくファールし、達也にはあと1球を投げるだけの体力しか残されていなかった。「南、ごめんよ」とつぶやいて投げた1球。新田のバットは虚しく空を切り、長かった達也の戦いにピリオドが打たれた。
上杉達也 三ツ矢雄二
浅倉南 日高のり子
柏葉英二郎 田中秀幸
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