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『ぼくの伯父さん』で名声を博したジャック・タチ監督が、自らの集大成を目指して多額の資金を注ぎ込んだ野心作であり、フランス映画史上屈指の超大作。1964年から制作に入り、1967年に公開された。ジャック・タチはこの映画でも「ユロ氏」を演じているが、メインキャラクターではない。
「タチ・ヴィル」と呼ばれる、ガラスの超高層ビルや空港・博覧会場・アパート・オフィスなどのモダニズム建築群からなる2500平方メートルの巨大なセットがパリ郊外のパンセンヌに作られ、高画質の70mmフィルムを使用して撮影が行われた。細部へのこだわりから全体の3分の1を撮り直したり、ほぼ全ての俳優のパントマイムをタチ監督自ら指示するといったこだわりもあり、最終的には撮影期間は丸2年、制作費も現在の額にして1540万ユーロというフランス映画では前例のない多額に及んだ。
フランソワ・トリュフォーら一部の映画人には絶賛されたものの、アメリカでの配給がうまくいかなかった事や、タチに反感を抱いていたマスコミの酷評などがたたり、興行的に惨敗。再利用の希望もかなわずタチ・ヴィルは取り壊され、タチ監督は破産に追い込まれてしまう。しかしタチ監督自ら「私の遺作」と語ったほどに、監督の文字通り全身全霊が捧げられたこの超大作は、作家主義嗜好の映画ファンから今なお熱い支持を受けている。
遠くない将来。パリにやってきたユロは、ガラス張りの超高層ビルが立ち並ぶ街並みと化した慣れないパリ市街でアメリカの団体旅行客らと右往左往する。アメリカから団体旅行でパリ観光に来ていた若い娘バーバラと幾度かすれ違う。夜会にたまたま居合わせたバーバラとユロはダンスを踊る。
ジャック・タチ
バーバラ・デネック
ジャクリーヌ・ル・コンテ
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