ニノチカ
【中古】洋画DVD ニノチカ【P25Jun15】【画】 |
なんて陽気な共産主義者たちだ! 『ニノチカ』ではパリに3人のソ連人がやってくる。ソ連政府の命を受け、トラクター購入資金を調達するために、帝政ロシアの貴族から没収した宝石を売却しなければならないのだ。宝石の元の持ち主、スワナ大公妃(アイナ・クレアー)はこのいきさつを知り、愛人のレオン(メルビン・ダグラス)に命じて宝石を奪還させようとする。彼は法的処理を進めつつ、資本主義社会の贅沢さを3人のどじなソ連人に味わわせ、彼らをまんまと丸めこむ。宝石の売却が遅れていると気づいたソ連当局は、ニノチカ同志(グレタ・ガルボ)を問題解決のためにパリへ派遣する。パリへ着くとすぐにニノチカはレオンと出会い、レオンはニノチカの厳格で堅苦しい態度と驚くべき美貌のとりことなり(「ロシア人が大好きだ! 同志よ、私はここ15年間になされたあなた方の5カ年計画に魅力を感じている!」)、恋愛など信じていないニノチカ(彼女はレオンに恋愛は単なる「化学反応」だと不機嫌に語る)を口説き始める。ロマンス、嫉妬、資本主義の浅はかさなどが次々と描かれていく。「ガルボ、笑う」のキャッチフレーズとともに1939年に公開された本作は、ガルボの最初で最後のコメディ作品である。監督はエルンスト・ルビッチで、筋書きがおもしろいだけでなく、共産主義の初期に見られた時代錯誤の感覚(ニノチカはいかめしい顔つきのレーニンの写真をベッドサイドに置いているが、一泊2000フランの部屋でそうしているのは心地悪い。2000フランといえば、牛1頭を買い戻せる金額なのだ)を描いて実に愉快な作品になっている。腐敗した西洋の思想に戦いを挑む若き共産主義者を皮肉に描いているさまは、今日ではどこか理想主義的とも思えるタッチであるが、公開時の激動の政治背景を考えると、軽率ともいえる明るさに満ちている。駅でカップルが「ハイル・ヒットラー」と何気なくあいさつを交わす姿に観客は不快感を覚えるかもしれないが、『ニノチカ』は総体的に見ればルビッチの傑作に数えられ、神秘的な女優グレタ・ガルボの軽妙な一面をのぞかせる作品である。
グレタ・ガルボ
メルビン・ダグラス
アイナ・クレア
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