風立ちぬ
宮崎駿監督が「月刊モデルグラフィックス」で連載していた漫画をアニメ化。実在した零戦設計者・堀越二郎と文学者・堀辰雄それぞれの要素を取り入れ、飛行機作りに情熱を傾けた青年技術者・堀越二郎の人生を描く。庵野秀明が主人公の声を担当。
航空技術者として活躍した堀越二郎が、主人公のモデルとなっている。七試艦上戦闘機、九試単座戦闘機、零式艦上戦闘機の設計などを手掛けた、二郎の生涯が描かれている[2][3]。東京、名古屋、ドイツを舞台に、二郎の10代から30代までを中心に物語が展開される。航空技術者としての活動とともに、オリジナル要素であるヒロインとの恋愛シーンも盛り込まれている。
群馬に生まれた二郎は、幼いころから飛行機に憧れる少年だった。しかし、二郎は近視だったため、パイロットになるのは不可能で、飛行機の設計士になれないかと夢想していた。夢の中で飛行機製作者のカプローニに邂逅した二郎は、近視でも飛行機の設計士になれるのかと質問した。カプローニから励まされた二郎は、飛行機の設計士になろうと決意する。その後、二郎は飛行機の設計士を目指し、東京の大学で航空工学を学ぶようになる。汽車に乗っていた二郎は、ひょんなことから少女とその女中と知り合うが、そのとき関東大震災が発生、二郎は2人を助ける。
大学卒業後、二郎は飛行機製造会社に就職し、名古屋に向かう。初めて試験飛行を目にした二郎は感銘を受けるが、隼型飛行機は急降下試験で空中分解し、コンペは失敗に終わる。上司の黒川は、二郎に欧米の進んだ技術を学んでくるよう勧める。同期の本庄らとドイツに渡った二郎は、G.38などを目の当たりにし、その技術水準に圧倒される。帰国した二郎は、上司の服部や黒川から七試艦上戦闘機の設計主務を命じられる。初めての設計主務に二郎は悪戦苦闘するが、ようやく完成した飛行機は飛行試験中に垂直尾翼が折れて墜落した。失意の二郎は休暇を取って軽井沢に向かうが、そこで関東大震災のとき助けた少女菜穂子と再会し、交際することになる。しかし、菜穂子は結核を患っていた。
その後、九試単座戦闘機の設計主務を命じられた二郎は、逆ガル翼や沈頭鋲を採用するなど意欲的に設計に取り組む。そのとき、入院していた菜穂子が病院を抜け出したことを知る。名古屋で菜穂子に再会した二郎は、菜穂子の死期が近いことを悟り、黒川夫妻の媒酌で結婚する。二郎はその後も設計に執念を燃やすが、一方、菜穂子の症状は重くなっていった。二郎らの努力の結果、九試単座戦闘機の飛行試験は大成功に終わるが、そのころ菜穂子はたった一人で再び高原の病院に戻る。
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