金色夜叉
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箕輪邸での歌留多会で宮を見そめた富豪の富山唯継は、早速好条件で宮の両親の鴫沢夫妻に結婚を申込むが、欲に目が眩んだ夫妻は宮の許婚である貫一をそっちのけにして、いやがる宮を富山と一緒に熱海へやった。学友荒尾譲介、蒲田、風早にはげまされて貫一は慌てて熱海へ駈けつけ、宮に詰問する。宮は既に諦めていた。怒った貫一は「今月今夜のこの月を一生忘れない」という言葉を最後に去った。それから幾月--金を呪って残酷な高利貸鰐淵の手代となった貫一は、昔の学友達迄苦しめる金色夜叉の姿に変っていた。女高利貸の赤樫満枝はそうした貫一に惹かれていったが、貫一は満枝にも再会した宮にも、見向きもせず、遂に暴漢に襲われる程の非道さであった。誤った結婚をした宮も不幸だった。貫一に苦しめられて狂婆とせが、貫一の事務所に放火した晩、宮は貫一の許に駈けつけ、気を失った彼にすがりつくが、息を吹き返した貫一は宮を払いのけた。絶望した宮は火事場に残った池へ身を投げた。始めて貫一は自分が金の為に大切なものを失った事を悟り、失神している宮の名を呼んで許しを乞うた。
宮 山本富士子
貫一 根上淳
鴫沢隆三 信欣三
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