カルメン故郷に帰る
ほぼ全編を浅間山麓でロケ撮影し、国産初の「総天然色映画」として公開されて話題を呼んだ。
都会でストリッパーをしているヒロインを演じる高峰秀子の爽やかな演技が光る。戦後の自由でどことなく軽薄な風潮と、それに対する賛否両論の世論を風刺した軽快な喜劇で、新しい時代の映画の創作意欲が随所に見て取れる作品である。また父娘、姉妹、夫婦の情愛などが非常に丁寧に描かれている。
上州北軽井沢の浅間山のふもとの村で育った娘・おきんは、家出をして東京に出、リリィ・カルメンという名のストリッパーになっていた。彼女は男性たちを魅了する裸踊りを芸術だと信じて疑わない。とある初秋に、おきんは同僚の踊子・マヤ朱美を連れて故郷へ錦を飾りに帰ってくる。芸術の擁護者を自任する校長先生は、村から芸術家を輩出したと大喜び。村人たちも共に帰郷を歓迎した。ところがふたりを目の当たりにして、村とは不釣合いな派手な出で立ちと言動に戸惑ってしまう。おきんの父は彼女が子供の頃に牛に頭を蹴られ、それが原因で少し頭が弱くなったと疑っており、かわいい娘を不憫に思い憂う。学校で運動会が開催されふたりも見学に行くが、カルメンが昔好きだった田口春雄(結婚して子供も一人いるが、戦争で目が不自由になり、生活にも困っている)のオルガン演奏の際に大失態を起こして滅茶苦茶にしてしまう。名誉挽回とばかり芸術披露を思いつき、業者のおだてもあり「裸踊り」を行うことになるが、父や校長先生は恥かしいやら悲しいやらで、校長先生は興行主の丸十の親父(丸野十造)を投げ倒して、当日は仲間と家で酒を飲む。翌日、カルメンとマヤは村を離れるが、踊りでたんまり儲けた丸野十造は、田口春雄の借金のかたに巻き上げたオルガンを田口春雄に返してやり、妻の光子は泣きながら、学校の校庭で自作の曲を演奏している春雄にそのオルガンを持っていく。校長先生とカルメンの父は、カルメンからもらったギャラの一部を春雄に渡し、本当の芸術家が村から出ることを祈る。
高峰秀子
小林トシ子
望月優子
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