バイオレンスジャック
「週刊少年マガジン」誌上で1973年7月22日号から1974年9月30日号まで、「月刊少年マガジン」誌上で1977年1月号から1978年12月号まで、「週刊漫画ゴラク」誌上で1983年8月5日号から1990年3月23日号まで掲載された。大きく分けるとマガジン版とゴラク版から構成されており、講談社コミックからマガジン版が全7巻、日本文芸社からゴラクコミックスでゴラク版が全31巻と、それぞれ別に単行本としてまとめられていた。1996年より中央公論社から完全版として発売された全18巻の単行本では、マガジン版とゴラク版が1つの物語として再構成された。
ゴラク版で物語は完結していたが、2006年から「週刊コミックバンチ」にて新シリーズ『新バイオレンスジャック』の不定期連載がおこなわれた。
劇中で関東地獄地震と呼ばれる巨大地震によって壊滅し、本州から分断された関東。無法地帯となった関東を暴力によって支配しようとするスラムキングと、それを阻む謎の大男バイオレンスジャックを中心とする死闘、そして絶望的状況下でたくましく生きる民衆を描いている。『デビルマン』で世界を破滅させて連載を終えた永井豪は、本作では破壊された世界で再起する民衆のエネルギーを描きたかったのだという[1]。夢枕獏は、1973年に描かれたその世界観について映画『マッドマックス』よりも早く、先駈けと評価している[2]。 このことから、社会的なインフラストラクチャーやサービス、法体系、ヒューマニズム、倫理観が全て破壊されたアナーキーな世界を舞台に、数的勢力あるいは暴力が最優先とされて有利となる視覚化された創作物は本作が世界初ともなっている[独自研究?]。
舞台や物語の設定は、永井が白土三平の『忍者武芸帳』に憧れ、戦国時代を舞台にした時代劇を描きたかったことにある。しかし、当時の少年誌では時代劇の企画は難しかったため、関東地獄地震による荒廃した世界を設定して戦国時代に似た無法地帯を作り出したのだという[3]。
永井作品のキャラクターが競演することでも知られている。マガジン版では『ガクエン退屈男』のキャラクターが活躍する程度だったが、ゴラク版では各エピソードごとに『マジンガーZ』『ハレンチ学園』『キューティーハニー』『凄ノ王』『ドロロンえん魔くん』など数々の永井作品から、キャラクターが役どころを変えて登場。特に『デビルマン』との関連は強く、ラストでは本作がその続編であることが明らかになった。後年、永井が『デビルマン』の製作の舞台裏を虚実ないまぜに描いた『激マン!』の「デビルマンの章」は、『デビルマン』が『バイオレンスジャック』へ続くことを暗示する内容で終了している。
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