紀ノ川
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明治・大正・昭和と生きた美しく聡明な女性・花の生涯を通して、女性の生命の力強さと豊かな母性を描く。出演は岩下志麻、司葉子、田村高廣、ほか。
明治32年、22歳の春を迎えた紀本 花は紀州有功村六十谷の旧家真谷家に嫁いだ。夫敬策は24歳の若さで村長の要職にあった。婚儀は盛大なものだったが、花を好いていた敬策の弟浩策はうかぬ顔たった。翌年の春、ようやく真谷家の家風に慣れた花は妊った。そして花は、実家の祖母豊乃に教えられて慈尊院へ自分の乳房形を献上し安産を祈った。紀ノ川が台風に荒れ狂う秋、長男政一郎が産れた。長男穣生の報に喜んだ敬策は紀ノ川氾濫を防ぐ大堤防工事を計画するのだった。日露戦争が始まった年、浩策は持山全部をもらって分家し、敬策は県会議員に打って出ようと和歌山市内に居を移した。やがて花は、日本海海戦大勝利の中で長女文緒を産んだ。 17歳の文緒は和歌山高女に学び、新時代に敏感な少女に成長した。そして、新思想の教師が追放されると学校当局と派手に渡りあったりして花を嘆かせた。東京女子大に進学した後も、男女平等を標榜しカフェに出入りしたり「女権」という同人雑誌の編集に参加したりして、敬策や花を心配させた。文緒には真谷家という家門や昔風の美徳に生きる花に対する反撥があったのだ。(1966)
岩下志麻
司葉子
田村高廣
丹波哲郎
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